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LINCLEちいき版が示す「相互互助」の新しい形

LINCLEちいき版 導入事例

青森県 有限会社共奏
代表取締役 鶴岡智希さん

有限会社共奏代表取締役鶴岡智希さん

医薬品の供給不安が長期化する中、青森県八戸市では地域全体でこの課題に立ち向かっています。古くから「薬局間小分け」の文化が根付いていた八戸地区。その土壌に「LINCLEちいき版」を導入したことで、現場はどう変わったのか。八戸市で薬局を営み、八戸薬剤師会の理事でもある鶴岡社長にお話を伺いました。

【課題】患者さまをお待たせする「供給不安」という社会課題

─「LINCLEちいき版」導入のきっかけは何だったのでしょうか?

鶴岡社長: 昨今の医薬品の供給不安に対し、八戸薬剤師会では阿達会長をはじめ、理事会全体で危機感を持っていました。八戸はもともと薬局同士が助け合う「小分け」に理解がある地域ですが、課題は「必要な医薬品が、どこにあるか分からない」ことでした。

これまでは近隣の薬局に一軒ずつ電話をかけたり、卸さんに納品実績を問い合わせたりして探していました。しかし、相手の薬局や卸さんに手間をかけますし、目処をつけるまでに30分以上かかることもあります。患者さまをお待たせした状態で30分費やすのは、薬局として致命的です。「今どこにあるか」を可視化し、このタイムロスを埋めるために「LINCLEちいき版」の仕組みは最適だと判断しました。

【効果】「小分け」を活発にして流通を改善

「小分け」を活発にして流通を改善

─導入してから、医薬品を探す時間は実際に減りましたか?

鶴岡社長: 圧倒的に少なくなりましたね。「LINCLEちいき版」ではウェブ上で近隣店舗の調剤実績がすぐに確認できるので、闇雲に電話をする必要がありません。「おそらくここにあるだろう」と予測を立てて、近い順に連絡できます。当薬局の具体例としては、事務スタッフが在宅の事前情報をもとに在庫確認や薬剤師への相談ができるようになり、薬剤師が本来の業務に集中できる時間が増えました。地域の調剤の動向を見ながら医薬品購入の判断をすることもできます。
また、「小分け」は「もらう側」だけでなく「渡す側」にもメリットがあります。自店で動かないデッドストックを、必要としている他店へと譲渡することができます。デッドストックは社会資源として利用すべきだと考えています。期限が切れて廃棄となってしまったら、それは社会的な損失です。「小分け」を活発にすることは、薬局が流通の一部を担うことにもつながります。医薬品卸の努力だけでは供給不安を改善することはできません。「LINCLEちいき版」は非常に有意義なシステムだと思いますね。

【理念】「頼みやすく、断りやすい」仕組みにしたかった

【理念】「頼みやすく、断りやすい」仕組みにしたかった

─在庫数そのものを表示せず、調剤実績を表示する仕組みについてはどうお考えですか?

鶴岡社長: そこが「LINCLEちいき版」の最大の肝であり、当初の狙い通りになった部分です。薬剤師会としては、各薬局が「頼みやすく、断りやすい」仕組みにしようと考えました。
「在庫数が見えたほうが良いのではないか」という意見もありました。一方で「在庫数が見えてしまうと、依頼が集中して業務の負担になるのではないか」という懸念もありました。あえて「調剤実績のみ」を見せることで、最終的な交渉は「人と人とのつながり」に委ねられます。一方的な依頼ではなく、「相互互助」の精神が基本です。「頼みやすく、断りやすい」状況にすることで心理的なハードルを下げ、結果として多くの薬局が参加しやすくなった要因だと確信しています。

【活用】災害時こそ「薬局間のつながり」が大事

─災害時の活用についても期待されていますか?

鶴岡社長: 被災地になった経験があることも「LINCLEちいき版」の活用に影響していると思います。 災害時、被災地では「何が足りないか」を正確に伝えるのが難しい。どこに何があるかわからない状態だと、支援物資が地域によって偏ることもあります。
そんなときに「LINCLEちいき版」を活用することで、その地域で何が必要とされているかが分かるかもしれない。また、地震等で物流が寸断された際、卸さんに頼るには限界があります。近隣の薬局間で、「どこに、何が、どれだけあるか」を把握できていれば、地域内で融通し合って急場を凌ぐことができます。災害時には国や自治体が備蓄を用意するより、地域の薬局在庫を「社会資源」として有効活用した方が良いと考えています。そんな災害に強い街づくりに貢献していきたいですね。

【終わりに】地域で結びつくことが薬局の生き残りに繋がる

─これから導入を検討している他の地域の方へメッセージをお願いします。

鶴岡社長: 「LINCLEちいき版」を導入すれば「薬が、明日、入荷するか分からない悩み」から解放されます。今は卸さんの配送体制も厳しく、来局の時間によってはすぐに薬を取り寄せることができず、患者さまをお待たせすることがあります。でもその患者さまが緊急な場合、1日分だけ近隣の薬局に分けてもらうことができます。「LINCLEちいき版」は自分たちの手に流通のネットワークを持つことができるシステムとも言えますね。
薬局単体では小さな力でも、地域で結びつくことで大きな強みを持てます。「自分の店」だけでなく「自分たちの地域」という視点を持つ。地域全体で患者さまを支える姿勢を見せることが、結果として薬局という業種の生き残りにつながるのではないでしょうか。

─ありがとうございました。

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