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地域で医薬品を共有!
「LINCLEちいき版」誕生秘話

LINCLEちいき版 導入事例

青森県 八戸薬剤師会
会長 阿達昌亮さん

八戸薬剤師会阿達会長

現在、全国の薬局が直面している医薬品の供給不安。この難局を乗り越えるため、八戸薬剤師会と当社(株式会社メディカルシステムネットワーク)が協力して開発したのが、調剤実績共有システム「LINCLEはちのへ」です。この仕組みは、単なる医薬品の検索ツールにとどまらず、地域の薬局同士がスムーズに連携できるよう、多くの工夫の下に生まれました。
「LINCLEちいき版」誕生の経緯を、八戸薬剤師会・阿達会長へのインタビューを通じてご紹介します。

【発端】薬剤師の基本的な職務を全うするために

─「LINCLEはちのへ」を立ち上げようとしたきっかけは何だったのでしょうか?

阿達会長: 全国的に医薬品の流通が不安定になる中で、「地域の住民の方々に必要な薬が届かない」という状況を何とかしたいと考えていました。患者さまに医薬品を提供することは、我々薬剤師にとって「一丁目一番地」の仕事です。それができないことは、我々の職能そのものが果たせなくなることになりかねません。
そんな折、メディカルシステムネットワークさんから、在庫管理システム「LINCLE」を紹介されました。薬剤師会として、地域の薬局が参加しやすい独自の仕組みを作れないかと、同社に協力を打診したところ、ご快諾いただきました。
同社の担当者と当会で1年ほど協議を重ね、我々の希望に沿った必要十分な仕様に組み替えていただきました。

【仕組み】あえて「見せない」ことで信頼関係を守る

あえて「見せない」ことで信頼関係を守る

─「LINCLEはちのへ」を作り上げる上で、特に重視した点はありますか?

阿達会長: 最も大切にしたのは、「分譲を断りやすい仕組み」にすることです。同じグループ内ですら在庫数が見えることが原因でトラブルになるケースがあるようです。例えば、1,000錠の在庫があると、他の薬局からは在庫数に余裕があるように見えます。しかし、それは特定の患者さまのために確保されているものかもしれません。このため我々は薬局間の信頼関係を守るため、あえて正確な在庫数は見せない仕様とし、「在庫の有無」ではなく「直近の調剤実績」を表示する仕組みにしました。これにより、お互いの事情を尊重しながら相談できる土壌が整いました。
また、仕組みについてはデータ収集の自動化は不可欠と考え、レセコンのデータを活用することにしました。マンパワーに頼ると情報の鮮度が落ちますし、現場の負担が増えれば各薬局の参加率も上がりません。
ただし、レセコンのデータには個人情報等の機密情報が含まれます。そこで、それらを取り除いた最低限の情報のみを共有することにしました。共有されるデータは、薬局名・医薬品名・調剤日の3点に絞っています。
こうした我々の要望にメディカルシステムネットワークさんが真摯に応えてくださり、完成したのが現在の「LINCLEちいき版」です。

【導入以前】患者さまの「この薬局でもらいたい」を叶えたい

─導入以前は、どのようにして医薬品を探していたのでしょうか?

阿達会長: 20年以上前から、顔の見える関係性を構築し「医薬品の分譲」を行う環境はありました。しかし、どうしても人間関係の範囲内に限られてしまいますし、若い薬剤師にとっては、面識のない薬局へ電話をかけるハードルが高いという課題もありました。そこで、地域全体を一つの大きなバックヤードと捉え、地域の方々が薬に困らない体制を整えたいと考えました。
我々が重視したのは患者さまの選択肢を奪わないことです。「この薬局で薬をもらいたい」「この銘柄を使いたい」という意向を尊重したい。患者さまが薬を求めて何軒も回るのではなく、薬剤師が汗をかいて薬を探し提供する。そんな「地域の互助」を丁寧に築いていくため、各薬局に参加を呼びかけました。

【導入後】参加薬局から「助かった」の声

─実際に運用が始まってからの、現場の反応はいかがですか?

阿達会長: 八戸地域では60%以上の薬局が参加しており、確かな手応えを感じています。運用開始から2年ほど経過しましたが、参加薬局からは「本当に助かった」という声が多く寄せられています。特に出荷調整品については、「次に入荷するまでの日数分だけでもお互いに融通し合い、協力して患者さまに提供しよう」と申し合わせています。
私の薬局でも、薬剤師から事務スタッフまで全員が活用しています。クラウド型システムなので常にブラウザを立ち上げておき、欠品があればすぐに検索します。複数品目の不足がある場合は、一括で相談できる薬局を優先的にピックアップしています。FAXで送信可能な注文書も印刷できるため、電話の手間も省けスムーズな連携ができています。

【副次効果】不動在庫解消と医薬品卸への貢献

─欠品時の連携以外に、メリットを感じている部分はありますか?

阿達会長: 不動在庫の処理に関しても、大きな可能性を感じています。特定の医薬品を使用している薬局を検索できるため、患者さまの服用中止によって残った医薬品や、返品できない高額な医薬品などを、必要としている薬局へ譲渡できます。不動在庫の削減には非常に役立ちます。
さらに、薬局間での融通が進んだことで、医薬品卸さんの急配回数が減少しました。医薬品卸の担当者さんからも「急配がかなり減って助かっています」との声をいただいており、医薬品流通の改善にも貢献できていると実感しています。

【災害対策】被災地だから感じる「情報共有の価値」

被災地だから感じる「情報共有の価値」

─八戸では2025年12月に青森県東方沖地震がありましたが、災害時にこのシステムはどう役立つとお考えですか。

阿達会長: 青森県東方沖地震では、薬剤師会として地震発生直後から緊急連絡網を使い、安否確認や情報収集を行いました。一部で調剤機器の破損があったものの、多くの薬局が迅速に営業を再開できました。
八戸は東日本大震災で大きな被害を受けた経験があり、災害対策への意識は高いです。だからこそ災害時でも薬剤師が職能を発揮し、地域の方々に必要な医薬品を提供する仕組みを構築することは最優先事項だと考えています。
「LINCLEちいき版」があれば、「どこでどの医薬品が調剤されたか」調剤実績が即座に分かります。万が一、患者さまの「かかりつけ薬局」が被災してしまっても、別の薬局が希望に沿った薬を提供できる可能性があります。災害時においても「LINCLEちいき版」は大いに活躍できると確信しています。

【終わりに】薬剤師の職能を可視化し、信頼を築く

─最後に、導入を検討されている全国の薬剤師会の皆さまへメッセージをお願いします。

阿達会長: 薬剤師は患者さまのために日々尽力していますが、その職能を社会に対してまだ十分に伝えられていないという課題があります。実際、内閣府の調査でもそのような結果が出ています。薬剤師は自分たちのスキルを活かした取り組みを、適切に評価・発信していかなければなりません。「薬剤師にはこれだけのことができる」と周知していくことも、我々の重要な責務だと考えています。
そうした中で、「LINCLEちいき版」を活用し、地域の住民のために薬剤師が奔走している姿を見ていただくことや、薬局同士が連携していることを知っていただくことには大きな意義があります。「LINCLEちいき版」はそのための機会を提供してくれるはずです。

─ありがとうございました。

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